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変革期 [時代認識]

人間通 谷沢永一 新潮選書 新潮社からの一節である。

二十世紀は世界を挙げての動乱期であったから、
良かれ悪しかれ傑出した逸材が多く現われた。
衆に抜きん出た敏腕の指導者が活躍できたのは
危機が続いたゆえである。本物の政治家は事態が
破局に至らぬよう事前に手を打つ用意周到な曲物
である筈だから、動乱期に入ってから遅ればせに
対応した火事場働きは、華々しい遣り手のように
見えるが実はただの天手古舞かもしれぬ。
冷戦の終結とともに先進国では動乱期が終った。
今までは外に向いていた眼が内側へと転換し、
社会構造を編成し直すための変革期となった。
動乱期における豪傑型にかわって人心を把握できる
治世型の英傑が求められている。変革期とは既成の
価値観の転換期である。或いは既得権益にしがみ
ついている者たちを、おだやかにしかしきっぱりと
排除すべき時代である。
そのためには古くなった価値観を追放しなければならぬ。

既得権益より厄介なのは既成概念であるとケインズは嘆いた。
既成概念とは変革期に適応できなくなった古臭い思いこみである。
新しい時代に生きるためには前の時代にのみ有効であった
判断基準から脱却しなければならぬ。
旧来の伝統的な物の考え方から抜けだし、清新な勘を縦横に働かせて、
来るべき時代の運行法則を予測しえた者が世に現われる。
変革期とは旧弊観と先見カとの闘いである。
両者の乖離と落差は決定的に大きい。
程度の違いではなく質的に相反する対照である。
ゆえに先見カのある者のみが時代の牽引車として光るのである。

本当の変革はこれからである。


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