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ラポールと共感力 [関心事]

 
一瞬で自分を変える法―世界No.1カリスマコーチが教える

一瞬で自分を変える法―世界No.1カリスマコーチが教える

  • 作者: アンソニー ロビンズ
  • 出版社/メーカー: 三笠書房
  • 発売日: 2006/11
  • メディア: 単行本
この本を読んだ。

書いてある多くのことが、これまでの知識を再確認するものだったり、自分の経験に即するものだったりした。そういう意味で有益な情報が多く盛り込まれた本である。

この本では、NLP(神経言語プログラミング)のテクニックがいくつも紹介されている。NLPは、言語と非言語が神経系に与える影響を研究するもので、人間の脳を思いどおりの方向へと導くための系統立った枠組みだそうだ。自分が望んだとおりの結果を出すために、脳を最大限に活用する科学だという。


NLPの手法として、モデリングリフレーミング、あるいはアンカリングなどが具体例とともに紹介されている。

モデリングとは、自分の求める結果をすでに出している成功者を見つけ、その人を手本にするということである。つまり手本とする人の行動、思考、しゃべり方からしぐさまで徹底的に真似ることが自分の求める結果を出す早道になるということだ。

これには確かに思い当たる節がある。私の敬愛する恩師は、そのまた恩師の行動をよく真似ていたと話を聞いたことがある。私自身も、その先生の真似を若いときにはよくしたものだ。(もっとも、その成果は先生の域にはとても届かなかったが・・・)

リフレーミングとは、「認知の枠組みを変える」ための技法で、経験したことや行動の意味づけを変えることとある。これをうまく応用すれば、イメージや認識の仕方で、ピンチはチャンスに、失敗は成功のきっかけに変えられる。リフレーミングという言葉は知らなかったが、こうした発想の転換は私自身日常的に用いている。

アンカリングは、いい意味での“パブロフの犬”だ。特定のきっかけによって、いつでも決まった反応が起こるような条件づけをすると、いつでも確実に能力を発揮できるという。高校野球でPL学園の選手が、打席に入ってバッティングする前、かならずユニフォームの胸のところにくくりつけたお守りを握りしめる。そうすることで大きなパワーが発揮できる(ものと信じている)ようなものがアンカリングだろう。

私の経験でいえば、お尻の筋肉をきゅっと締めることで、気合が入るというのがひとつのおまじない的習慣になっている。講演や発表の前に、この「きゅっ」をやることで気合が入るとともに落ち着きが得られたりする。

と、前置きが長くなってしまったが、この本の中で最も参考になると思ったのが、「ラポール」という概念である。

ラポール【(フランス)rapport】
心理学で、人と人との間がなごやかな心の通い合った状態であること。
親密な信頼関係にあること。
心理療法や調査・検査などで、面接者と被面接者との関係についていう。


ラポール
は、他人の世界に入り込む能力であり、「二人の間に強い理解、共通する絆がある」と相手に思わせること、すなわち成功に導くコミュニケーションの本質であるという。 そのラポールを築くためには、まずお互いの共通点を見つけることから始める。そのために「ミラーリング」(または「マッチング」)という手法をとるというのだ。

要するにミラーリングとは、相手の外見を真似ることだ。

ホントかよ?なんて思う人がいるかもしれないが、本には次のような研究データが紹介されている。

対面コミュニケーションでは、相手があなたの言葉から受取るメッセージは、全体のわずか7%にすぎない。そして、38%は声の調子によって伝えられる。さらにコミュニケーションの55%、つまり半分以上は外見やボディランゲージによって伝達される。顔の表情、身振り、動きの種類によって伝えられる内容の方が、言葉で伝達される内容よりも、多くの情報を含んでいる・・・


この記述を読んだとき、幼少の頃のことが思い浮かんできた。初対面の相手といち早く打ち解けるには、相手のしぐさを真似ることだったという経験である。わが末息子は、ある意味そのミラーリングがとても上手い。どこに行ってもすぐに仲間をつくってしまう。これはまさにミラーリングを本能的に実践していることの裏づけといっていい。岐阜にいちじき暮らしていたとき、すぐに方言を覚えてしまったのはこの息子だ。埼玉に引っ越してきたら、こんどはすぐにこっちの言葉に馴染んでしまった。そのときにはすでに郡上弁はすっかり忘れてしまっているという具合だ。

ラポールを築くためには、柔軟性が必要である。ラポールの形成を妨げる最大の障害は、自分の世界観を相手に押し付けようとすること。相手の世界観に合わせて自分の行動を変えることがコミュニケーションという人間関係の構築の大きな武器になることは確かなようだ。

この本では、こうしたNLPのさまざまな手法をテクニックとして紹介している。おそらく現代科学ではこうした行動の効果がある程度証明されているのだろう。ただ、こうしたテクニックを単にテクニックとしてのみ自分の行動に取り入れようとしてもなかなか上手くいかないと思う。というか、こうした行動が無意識にできるようになるくらい自然に身につけないと大きな効果は期待できないのではないだろうか。

付け焼刃ではやはり相手にもその行為が見破られてしまうだろう。

もちろん、最初はぎこちなくても、何度も繰り返していくうちに自分の行動パターンとして身についていくということもある。本来はこれが望ましい姿なのだろう。わが末息子のようにこうした行為を本能的に幼い頃から身につけている人間にはたやすいことでも、多くの人にはなかなか身につかないテクニックなのかもしれない。ただ、あきらめちゃいけないとも思う。

ここまで書いてきて、ひとつ思いついた。このNLPの手法の実践は、まさに同調力から、共感力へのつながる最短の道かもしれないということだ。

先日紹介した「共感力」という本といい、田坂広志さんの最新刊といい、こうした共感、共鳴がこれからのビジネスのキーワードになっていくという視点は共通している。ラポールとは共感すること。そのために柔軟で相手に同調する力を身につけたいと思う。


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