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「あちらの世界」と「こちらの世界」 [時代認識]

先日、ある知人と一杯やったときの話である。

彼は現在ある建設会社でゴミの無害化、リサイクル技術の開発とその事業化の業務に携わっている。入社当初は、現場で工事管理を担当していたのだが、ひょんなきっかけから、環境ビジネスの世界に入ったそうだ。現在は、具体的な案件の事業化を実現するため、技術の最終の詰めをしている。

彼自身は、建設事業から環境事業への転換は、それほど大きな違和感を感じなかったという。ただ、まわりの人間の見る目ががらりと変わったことを少し困惑気味に次のような言い回しで表現したことが印象的だった。


 「まわりの人は、わたしがこちらの世界からまるで
  あちらの世界に行ってしまった人のように見るのです」

「こちらの世界」とは建設の世界、「あちらの世界」とは環境の世界のことなのだろう。


永年、建設事業に従事した人にとって、ゴミを燃やしたり、重金属の汚染やらダイオキシンの無害化などという世界は、どうもピンとこない「あちらの世界」のように見えるというわけだ。もっと極端な言い方をすれば、「あちらの世界」に行ってしまった別世界の人=自分達とは関係ない人=仲間ではないという感覚があるということである。たしかに、この「あちらの世界」と「こちらの世界」という差別的な見方の違いは、私自身も強く感じる感覚であったので、妙に納得してしまった。


私が約6年前から「あちらの世界」に顔を出すようになったときは、こちらにもあちらにも世界を行き来していたのだが、4年くらい前から本格的に「こちらの世界」に飛び込んだとたん、「こちらの世界」の人と接する機会が極端に減ってしまった。面と向って私達のビジネスを批判する人はそれこそ少ないが、その反応からみて、とても醒めた冷ややかな目で見ている雰囲気は十分に伝わってくる。

「そんなわけのわからないビジネスはうまく行くわけがない」
「汚染物を扱うなんて、そんなリスクのある仕事はやれない」
「廃棄物の処理なんて、ヤバイ人のやる仕事だろう」
「・・・」

そんな声がちらちら聞こえてくる。

だれもが、新しい世界を開拓するためには、多少のリスクや冒険はともなうものである。もし、ノーリスクで新しいビジネスが誰でも切り開けるなら、こんな簡単なことはないし、そんなうまい話ならすでに誰もがやっているだろう。過去の歴史を紐解けば、そうしたチャレンジ精神が新しい世界を切り開き、気がつけば世の中の主流がそちらに向っているというのが世の常である。もちろん、そこには数え切れないほどの失敗や挫折が繰り返されていることも事実ではある。


また、あちらの世界に行ってしまったと見られている我々――もちろん私にはそのような感覚は無く、あくまでも将来はこちら側の道を切り開く一つの道筋としていまのビジネスを展開しているつもりであるが――からみれば、ちいさな縮小するビジネスに必死に群がってしがみつこうとしているこちら側の世界の人たちの気が知れない。あちら側から見えるこちら側の世界は、まさに地獄絵巻のようでもある。

かつて「チーズはどこへ消えた?」という本がベストセラーになったが、その中に出てくるねずみたちの世界観の違いがここに縮図のように浮き彫りになっているようだ。

チーズはどこへ消えた?

チーズはどこへ消えた?

  • 作者: スペンサー ジョンソン
  • 出版社/メーカー: 扶桑社
  • 発売日: 2000/11
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



こちらも地獄、あちらも地獄、ならばどうするか――人によって、立場によって、そこからとるべき行動は異なるものかもしれない。


私は、こちらに留まって餓鬼道を進むのはまっぴらごめんである。


苦しい道のりでも、新しい世界を切り広げるチャンスにかけてみたい。
たとえ、それが万にひとつしか成就しないものだとしても・・・

 


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<和尚のひとりごと>
  ★★★ 満願成就 ★★★

<キーワード>
  ・チーズはあちらにある!
  ・こっちの水はあ~まいぞ、あっちの水はに~がいぞ?
  ・前進あるのみ!
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